野田市民大会
明日から高校生のインターハイ地区予選が始まる。それ備えて頭を丸めてきた選手がいた。毎年見られることだが、その気持ちだけでも誰かが汲んでやらないといけないと思う。
インターハイとは全国高等学校総合体育大会の通称で、バドミントンの場合は団体戦(本名は学校対抗戦)は夏の甲子園と同様、各都道府県から1位(但し北海道は南北各1校、開催地は2校まで出場する)、個人対抗戦は同様に上位1、2位が出場権を獲得する。千葉県の場合加盟約140校、各校4~6名、組が各地区大会に出場すると、占めて2/560~2/840の狭き門である。
甲子園高校野球に象徴される「青春ガチ」のスポーツイベントであり、昨今ではオリンピックへの登竜門とも言われている。だから、各校は「鎬(しのぎ:刀の先っぽの部分)」を削る。削るのならいいが、「鎬」をどこからか持って来たり、買ったり、集めたり、「結果オーライ」の過熱ムードになるのはバドミントンに限った話ではない。いわゆる「勝負モード」で会場は戦場となり、さしずめ選手は兵士である。緊張感や恐怖感は否が応でも高まっていく。だから、戦争とは全く違う平和で教育的な意味合いを施すことを指導者や学校が配慮しなければならない、と自戒を込めて考えている。
一方「野田市民大会」というのどかな大会もある。先週も春季大会団体戦が行われた。真逆とは言い過ぎかもしれないが、どの選手もいい顔して羽を追っていた。野田市内だけのクローズドな大会にもかかわらず500名近く出場し、関宿体育館11面を朝から晩までフル稼働させていた。コートサイドには応援している「ような」チームのみんなが汗を拭きながら、冷たい飲み物を飲みながら座っている。「ような」というのは、近くで耳に入る会話の内容は、買い物の話から仕事の話、そして「コイバナ」まで、目の前の選手に声を嗄らして泣きながら応援する「アルプススタンド青春応援」とは程遠い。会場は戦場ではなく「お祭り広場」だった。
西武台からも男女2チーム、OB、OGのチームも多数出ているからその都度楽しく、そして思うより高度なラリーも見受けられる。女子の1部優勝決定の試合などは見ごたえ十分だった。市民シャトラーのみなさんも「西武台ってどんなやつなんだ?」と遠巻きに観たり、実際対戦したりしながらその距離を縮めてくれる。高校生にとってこの会話ややり取り、コミュニケーション自体が大切なひと時なのだ。体育館全体が終日騒然(まるで暑く砂交じりで人だらけの遠い異国のバザールのように)、混沌としたまま時が過ぎていった。言うのも変だが、こんな雰囲気をまじめで几帳面で勝負にこだわる、とかく「学校の先生」は苦手に感じ嫌悪感を持ってしまうようだ。しかし、「バドミントン」というたった一つのつながりが大会運営を整然と進めてくれ、秩序もある程度保たれ進行していった。
30年ほど前に、長野県上田市で観た、「コート周囲ゴザ敷弁当食べ放題市民大会」と東京都千代田区の「警視庁はじめ各官庁、大企業の皆さま今日は一日お手柔らかに大会」を体験し、野田市の協会に提案し今に至る。だいぶ近づいてきた。
勝ちにはこだわらないのか?と問いかけれられる。
これじゃいつになっても勝てないよね、とも言われる。
それって本当か?といつも自問する。
どうやら答えは祭りの後の静けさにあるようだ。
高校生第11ブロック(地区)インハイ予選会
5月20日(土) 松戸市運動公園体育館 ダブルス
21日(日) 同体育館 シングルス