6月 折々のことば

2015年のバドミントンマガジンに載せた『折々のことば』から再掲です。

 

 世代交代 -新チーム誕生-

 

 インターハイ予選などの3年生最後の大会が終わるとチームの「世代交代」が行われます。と同時に「新キャプテン」も誕生するのです。

 昨今のジュニアスポーツ界では『個人レッスン』に人気がありますが、中学、高校生の部活動においては集団活動が主流です。私は、心身の成長期である中高生には仲間と力を合わせたり、支え合ったりすることの大切さを経験としてもつ方が良いことが多いと思っています。

 その「集団」は特定の「目標」(例えばインターハイ出場とか大会入賞など)を共有していて、それを達成するための「機能」を備え持つ「組織」に成長する中で、集団の個、即ち選手一人一人も成長していきます。ですから、これを上手にコントロールできる「リーダー」の存在は重要です。その「リーダー」がチームの良し悪しを決めることもよくあることです。

 先輩から受け取った『バトン』を落とさずに次の世代に渡す。しかもできれば少しでも順位を上げたいところでもあります。「起業は大変なことだが、それを受け継いでいくことはさらに大変なことだ。」という話を聞いたことがあります。これは、ただ渡すだけだから簡単なことのようだが、当の「新キャプテン」も「リーダー」としては「初心者」です。だから考えようによっては「第1走者」と同様に、またはそれ以上に厳しく難しいことが待ち受けていることを物語っているのではないでしょうか。

 「チーム」は考え始めます。どうすれば目標が達成できるのか、最終的なオーダー、つまり「誰がダブルスで、誰がシングルスを専門的に行うのか」そして「どうしたら、どんな練習を行えばこれらが強化されるのか・・・」。次の大会までの「期限付き」だから話はさらにシビアになっていくでしょう。

 ところで、先輩方から譲り受けた『バトン』とは一体何だったのでしょうか?「次の大会ではリベンジしてくれよ」「優勝してくれ」「少なくとも来年は・・・」、とそれぞれ異なる言葉を耳にするでしょうが、どれをとってもそれらは先輩方の『思い』に他なりません。目に見えない『思い』の重さは大小様々に感じると思いますし、はっきり分からないときもあります。また、時にはその『思い』に正面から逆らうこともあるのでしょう。

 新キャプテンを中心に考えれば考えるほど思い悩み、葛藤を続ける日が続きます。そして強力なアイディアが湧き出るときもありますが、空中分解しそうになりギリギリの状態で何とかチームをつなぎ止められていくこともあります。

 「葛藤のないドラマはない。」と言われています。極端に言えばそれぞれの葛藤がなければチームも選手も成長しません。そんな悩みやトラブルや葛藤まですべてを含んでバドミントンであり、スポーツそして人生でもあります。部活動の良さはこの「産みの苦しみ」を味わう場でもあるのです。とは言うものの、新米キャプテンさんにはこの味を楽しむ余裕などほとんどないでしょうが。

「西武台! Say!」

 

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