バランス感覚
大騒ぎをして植えた田んぼのまだまだ小さな稲が水面に広がっていた。順調に育っている。
今日は第1回の定期考査の中日。勉強をやっているのかどうなのか?詰め込み暗記大作戦、もしかしたら徹夜攻撃で乗り切ろうとしている選手もいるのだろうか?終わるとすぐに関東大会、翌週からはインターハイ予選も始まる。大切な1ヶ月だから体調にも十分に気をつけてほしい。
文武両道とはいうものの、勉強やりながらバドミントンはできないし、その逆も無理だろう。いつも目の前のどちらかに本気になって取り組むと面白くなってくるもんだ。ただ、面白くなるまでは時間もかかるし我慢も必要だ。そしてそのうちにバドミントンだって勉強だって実は同じ問題に向き合っていることがわかるはずだ。
英語にHe is not a wise man who cannot play the fool on occasion.(時には愚者の真似のできないのは賢者ではない)ということわざがある。賢者にも愚者の一面がなければならない、つまりものごとの二面、いいこと、わるいことがあるがその矛盾する両面を受け入れることも大切だということだ。
バドミントンもこの「矛盾」を受け入れなければゲームが成り立たない。そもそもバドミントンの「羽」はスピードを押し殺す性質があるから「風船」のようなブレーキがかかる。だが、ある程度距離が近いとブレーキがきかず「弾丸」になる。だからなるべく相手の近く「ネットを制圧する」ことが戦術の大切な一側面だ。
一方で、どんな上級者の試合でも冷静に観ればよくわかるが、そのほとんどが「ミス」だ。それも「不注意なミス」だ。もっと言い換えればあいてより1本多く「返したもの勝ち」なのだ。これがもう一方の戦術でもある。
これら両面を短い言葉で表せば前者が「勝つ」バドミントンで、後者は「負けない」バドミントンとなる。ラリー中、ゲーム中に「勝つ」が勢い余ってネット際で大失態をしてしまいそのまま逆転負けをしてしまうことがよくある。他方「負けないように」やろうとしてついつい消極的に試合を運んでしまい、相手に振り回され、ガンガン打ち込まれ情けない思いをしてしまうこともある。
二つのバランスをとるということは「矛盾」を受け入れることだろう。若さ故ついつい「こうなんだ」という固定概念にとりつかれ矛盾を受け入れられない頑固者がいる。残念ながらバドミントンの片面しか味わえないかもしれない。
「粘りながらネットをつかむ」これにつきる。さらに消極的なキャッチフレーズは「(相手に)前から叩かれないように返せばいい」でもよい。そのうちバドミントンの両面丸々楽しめるようになり。気がつくと面白くてしょうがない、そんな日が必ず来ると思う。
「絶対こうなんだ!」という一見強い信念が見える選手ほどもろい。あの手この手で粘って知らないうちに前にニョロニョロでてくるヤツが本当は怖いんだ。試験には制限時間があるがバドミントンは無制限だ。大会ではまた遅くまで頑張ろう。バランスがとれた選手になってほしい。