5月 折々のことば

2015年のバドミントンマガジンに載せた『折々のことば』から再掲です。

 

 初めての大会観戦 -見て感じるバドミントン-

たいてい、五月晴れの新緑がまぶしい日に初めての大会を経験するようです。「公欠」を頂戴し堂々と会場に行く道すがら、先輩選手からいろいろ話を聞き出します。会場に着くと、席取りや先輩のウォーミングアップのつきあい、初めての体育館、初めての雰囲気で何が何だかわからないものの、さわやかな緊張感に包まれるとともに「混沌」とした時間を過ごします。

開会式を終え対戦が始まると独特の雰囲気に包まれます。野球やサッカー、バレー、バスケを経験した人ならば、バドミントン独特の応援に慣れるまで少し時間がかかるかもしれません。私のチームにも、サッカー経験者であった選手が観客席から身体を乗り出してところかまわず大声で応援し、審判や本部席から厳しく注意を受けたことがありました。応援に関しても「ラリー中は静かに」とか、「相手を中傷しない」などのマナーを学ばなければならないと思います。しかし一方で、血気盛んな高校生スポーツに水を差すような指導もしたくないのも本音です。マナーとのバランスは難しいのですが、チームやチームメイトに本気で声をかけて「自分のことのように」応援することも大切な練習だと少なからず思っています。

昨今は試合をビデオ録画することが当たり前の様になっていますが、皆さんはどのようにそれをご活用されているのでしょうか。その道の「初学者」と「熟達者」との「見る目が違う」という話をお聞きになった方もいると思います。大会の動画も、経験が豊富な方と一緒に見るのは有益だと思います。動画再生中に一旦止め、「つぎのショットはどこに、どんな球種で返球すべきか?」などのクイズ感覚で「配球」や「戦術」を学ぶ機会もあるべきだと思います。せっかくの動画を撮って満足し、見ないままお蔵入りにならないようにしたいものですね。

大会も終盤になるとフロアには一面だけ残り、羽を打ち合い激しく動き合う音が響きます。会場はひっそりとし、息を飲む瞬間がおとずれます。そのコートに立つ先輩である選手の息づかいや表情に、いつもの部活では感じられないオーラが見える瞬間でもあります。

こんな時に「フラッシュを使った・・・」と場内放送が。水を差され残念な気持ちになることもあります。曲がりなりにも「本日のメインイベント」ですから、「敬意」を払い、終了した瞬間に互いをたたえる『拍手』でその大会に華を添え、新人に「夢」を託す大切な学習の場にしたいものです。もうひとつ、終盤の大事なときにザワザワと席を立ち荷物を運び帰り支度に入るチーム。「あとで結果おしえて!」とSNSでやりとりするのも今のご時世ですが、選手だけでなく応援も含めたその場の『空気』とみんなの『思い』はライブでしか味わえないものです。

家路に着くと初めての大会観戦で興奮がおさまらない新人君、新人さんは、「今日、すごかったよ!」と応援でガラガラにかれた声で家族に話しかけます。この感動が3年間、あるいは長い生涯の大切な『道しるべ』になるかもしれないのです。

田植え無事終わりました。