背番号19
本番さながらの「真夏の予行演習」が続いている。昨日は市内の小学校が体育祭を行っていたが、活躍する生徒も見守る親もさぞかしきつかったのではないだろうか。
本日は音楽の田村先生方のコンサートにお邪魔した。田村先生の声には魔力がある。今年もよかった。
さて、明日から定期考査が始まる。入試や検定試験のような緊張感はないが、これまでため続けた借金を一気に返済するがごとく必死に埋め合わせをする選手は少なくない、だろう・・・。
相撲が盛り上がり、スディルマンカップでは日本チームが善戦している。
そんな最中の先週、プロ野球巨人軍の「雑草魂」上原投手が現役を引退した。突然だったし、とても明るそうな彼が涙を抑えられない様子を見て、こちらもただならない緊張を感じた。
自身を雑草という上原選手は気が強い。記憶に残るのは入団間もない頃に敬遠指示に涙を流して悔しがった一件だ。ただ生意気な新人というイメージも正直感じていたが、彼の野球にかける思いは桁外れに大きいことが、その後長く続いたプロ野球選手としての彼の道程から容易に読み取れた。
巨人で活躍後渡米しメジャーに挑戦し、球団を渡り歩き、生き残り、メディアからは「strike machine」と賛辞を送られ、リーグ優勝やワールドシリーズで胴上げ投手となり大活躍した。
そして再び日本へ。もちろんその選手人生は平坦な道のりではなかったはずだし、困難の連続だっただろうがそれでも克服し続けてくることができた。
そんな上原投手がこだわるのは背番号19だ。これは、決して忘れてはいけない大切な19歳の試練を意味しているそうだ。
高校野球ではほとんど無名だった彼は、教師になることを志して大学を受験する。しかし不合格、浪人生活を送る。毎日必死に勉強に取り組み、野球漬けの高校時代の遅れを戻そうと、予備校では中学生の範囲からやり直した。野球で言えばキャッチボールからやり直す感じだったと彼は言う。
その一年間が彼の人生で最も過酷であったし、乗り越えられた「証の一年」でもあった。だからその19歳を忘れるな、と背番号を19にしていた。
上原選手の背番号にそんな秘密があるなんて知らなかったかもしれないが、「尊敬する人は?」という質問に彼はいつも「勉強している浪人生」と応えるそうだ。さらに驚かされる。
我がチームからも浪人生活を送っている者がいる。彼女らは今まさに試練の19歳を実体験している。みんなどうだろうか?そんな失礼なことを考えてはいけない。もちろん果敢に立ち向かい、勉強の山をすでにいくつか踏破し、来春の栄冠をつかむシナリオができあがっているに決まっている。
そしてこの1年を自分の「人生背番号」にすることだろう。
だから目の前のほんの小さな「お山」で苦しんでいる現役選手たちも、先輩を見習いもっと元気よく登るべきだろう。
ただ、現役の選手たちには試験が終わるとすぐに関東大会が待っている。だから今度はその大会で活躍し、タイトな生活の中でも私たちはこんなに頑張ってますよ!と浪人中の方々や社会人として賢明に生きている先輩たちに「お返し」としてそれを伝えてほしい。
ほら!もうネット見るの止めてノートに字を書きなさい!
五月晴れの関宿滑空場 モーターグライダー
「風をつかめ!」