オール3

 今年は何回も「大掃除」してる感じがする。それでも「窓拭き」ジレンマには毎度苦しめられる。「よしっ!拭き終わった」と思い、表面に移ると、「向こう面(今磨いたばかりの側)」の汚れを見つける、見つけてしまう。そんな時わたしは心の中には、互いに責任をなすりつける「2人」が登場している。「なんでさっきちゃんと拭かなかったんだ!?」と。

 さてさて、例年ならば県内の私立高校の大会で締めくくるはずの年末も、今年は関東選抜で幕が下ろされた。「無観客」とはいえ、コートで技を競う選手たちは、いつもと全く変わらない緊張を感じ、躍動感あふれたプレーを披露してくれた。

 大会プログラムの後ろの方に「過去の記録」がたいていあるが、今回はラインマーカーでなぞりながらまじまじと確認した。初めて出た関東選抜、初めて予選を通過し全国選抜の切符を手にした試合・・・。激戦を演じたチーム、選手、そして数々のドラマチックな展開をひとつひとつ思い出して楽しんだ。

 この関東選抜大会は過酷である。

 それは後半に繰り広げられる個人対抗戦に移る前に、山梨県、群馬県、栃木県、茨城県、そして千葉県で学校対抗戦を行うことだ。2複3単のトーナメント戦だから試合数こそさほどではないが、よく考えてほしい。

 もし、チームのエースがダブルスとシングルスを掛け持ちして、チームの命運を握っているとするならば、少なくて3試合(シングルスまで回らなければ)多くて6試合~8試合、ゲーム数でいえば12ゲームから16ゲーム、すべてファイナルゲームにもつれ込んだならば18ゲームから24ゲームを行う。しかもその前になぜか個人戦ダブルスの一回戦こなす。これまたファイナルゲームならば、21ゲーム~27ゲームを1日で消化しなければならない。

 ちょうど同時期に「全日本総合」が行われていたが、レベルこそトップレベルだが、1日1~2試合で終わる。ファイナルにもつれなければ2ゲーム、関東選抜の最多ゲームは27ゲーム。どう見ても尋常じゃないでしょ!これほどではないにせよ、今年の我がチームのある選手は、初日16ゲーム、2日目14ゲームの計30ゲーム、14試合を戦い抜いた。

 これは不健康かもしれない。だがこの大会の意義はそこではない。

 一本一本緊張したレベルの高い試合を数多く経験できる、まさに最高の練習環境だということだ。選手は皆新人に類する選手で、来夏のインターハイやその後のバドミントン人生のエンドゴールを目指すならば、是非この登竜門で自らを試してほしい。だから(これはどんな大会でも言うことだが・・・)「その会場で一番最後まで試合をしてみなさい、一番長く楽しみなさい!」と言っている。これまでの選手もそのフラッグシップ目指して、それこそ身体と心の限界まで活躍してきた。

 今年も男女そろって遅くまで、全身全霊で戦っていた。男子は破竹の勢いで優勝した。女子は戦前の予想通り3位決定戦までもつれ込んだ。だがこういう絶好の練習環境、自分自身の新しいチャレンジで人は変わる。今年もそれをまざまざと観た。

 外はとっくに日が落ちて、北風が吹いている。選手は夜8時過ぎまで、大汗かいて、声をからして羽を追う。その横顔が実に眩しい。

 女子は学校対抗が3位、ダブルスが3位、シングルスが3位、の「オール3」だった。普通ということだろうか。そんなことはない。トップ選手から、今回は補助員というIDカードを首からぶら下げていた控えの選手まで、みんな「満点」のいい顔をしていた。

 真っ赤な夕日がわずかに西の地平線を低く染めるころ会場を後にした。

 Truth is stranger than fiction.(事実は小説より奇なり)

じゃなくて、「事実はSNSより奇なり」だった。

 そんな選手のすぐそばで、彼ら彼女らの息づかいを感じながら、共に時を過ごせる幸せを痛感している。

 とりあえず、春のためにもう一回お稽古し直そう!

男子優勝!

よしなさいって!

 

 

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