無病息災

 
 謹んで新年のお慶びを申し上げます。

 じっと我慢の2020を終える大晦日、風呂掃除のオーダーが降ってきた。自分でもおかしいくらいに入念にクリーニングするので、このまま乾燥、そしてそっと飾っておきたいくらいであったが、行けなかった温泉の気分だけでも味わせてもらった。

 記憶が薄らぐ感じで紅白をチラ見し、「どんな香水なんだ?」とか「あいみょんの衣装、地味でないかい?」とか「やっぱすーぱーふらいだな・・・」とぶつぶつ念じているうちに夢の中に入っていった。

 明け方、自分でも笑えるくらいのおもしろい夢、それも二本立てで観たが、今でもさっぱり想い出せない。

 「観た」といえば、年末年始とNHKの「銀河テレビ小説(これ自体なつかしい!)『たけしくんハイ!』」をすべて観てしまった。ついでに北野武のファミリーヒストリーまで・・・、NHKも旨いことやったな。30年以上前の作品だし、そのストーリーはさらに古いので、今とは価値観も感じ方も異なるが、親を演じる役者も、子を演じる役者も実に上手だった。そして、時代や世相は厳しく冷たいが、親は子に優しくあたたかだった。

 一年の計は元旦にアリ、ということで坂東太郎(利根川です)の土手に初日の出を拝みに行った、と思った途端、ぼん犬ヴランが土手上で脱走した。確か一年前の元旦にも脱走したんだな。二年連続ですぐに捕獲され、難を逃れたが、仕方ないので思う存分散歩させた。さすがにその晩はヴランも早寝だった。

 自粛正月、車の数も近くの神社の参拝もまばらだが、おせち料理は多めだった。前後するがやはり大晦日、遠くに住む娘と家内がオンラインでおせち料理講習会をしていた。キッチンに「女優ライト」を持ち込み、師匠と少し生意気な弟子関係が続いていた。

 元旦夕刻、信州長野別所温泉の実家と、娘の鳥取、そして本部野田市中里を結んで、オンラインおせち見セッコ大会をおこなった。やはりみな多めだった。その際、90才近い義母と鳥取の娘で「オンライン五目並べ大会」を開催し、私が両者をつなぐ画面の碁石置き係を、盛り上げ役を兼ねて楽しんだ。そう、私以外はみんな五目、オセロ、百人一首系が強く、「いかさま」でしか勝てない自分が新年早々情けなかった。

 まさか西武台でも正月早々は練習しないよね。とお思いでしょうが、練習はしません。しかし我が国古来の風習で「女の子は正月『無病息災』を祈って『羽根つき』をする」とあるので、この時世当然『無病息災』を祈った。また、やはり我が国では「おとなはこどもに『お年玉』をあげる」ということだが、『落とし+玉』=ドロップショットは多めに打ったつもりだ。

 あと少しで大学共通試験が行われる。挑む生徒は今が追い込みだ。

 今回のコロナ問題は、国や人種も問わない全世界共通テストの様なものだ。この問題をどのように解決するのか、我々は試されている。

 コロナ禍、時代は、ライフスタイルは、そしてヒトは大きく変わるはずだ、と画面の向こうでどこかのオッサンが話していた。大会がなくなったり、練習ができない日が続いたりして「やる気なくなるよね」とかイライラするとか・・・。気持ちは分かるが、そんなヒトはバドミントンが本当は好きではないのでは、と思う。白い羽を追うバドミントンにかける思いや夢はそんな逆境くらいでなくなるわけがない。もしそんな簡単にあきらめるようならば最初から夢なんてみていない。

 どんな時代でも生き抜いて、思う存分楽しみたい。

 と新年の誓いをたてた。

羽根の黒い部分は「無患子(ムクロジ)」という実でつくる