スポーツの秋2021
キンモクセイの香りがまた漂っている。今年は早いな、と思っていたが、どうやら2度目のピークらしい。
緊急事態宣言が解除された10月、待っていましたとばかりに澄み切った青空に心地いい風が吹いていた。緑に覆われた公園や土手のグランドに思う存分体を動かしたい人々であふれていた。
さて、今夏の東京オリパラ、せっかくの機会だから目の前で選手たちの息遣いを感じながら観たいのが正直な気持ちだったが、いつの間にかスポーツはテレビの画面やパソコンやスマホのモニター越しに観るのがフツウになっていた。しかし今となっては、落ち着いて観るにはこれもアリだなと思うようになった。
画面越しのスポーツ観戦でいい点は、スコアがよくわかること、プレーの隅々まで多角的に観ることができることなどなどがあるが、一方で解説が些か残念な結果になってしまうこともある。その点、東京オリパラの「NHKオンライン配信」にはいい面もあった。それはアナウンサーや解説者がいないことだ。ただし、最後の最後、パラリンピック最終日、男女各種マラソンの中継は、無言のオンライン中継では物足りず、増田さんの解説が聞きたくなってしまった。
その日の中継は朝からマラソン。すべての種目がいっぺんに見られる。霧雨のTokyo大都心を駆け抜けて、知っている街角を曲がり抜け、ドラマのようにパッと雨が上がり、強い日差しが力を出し切った選手たちを待ち構えていた。見ごたえ、お得感満載の中継だったが、そこに増田さんのスナイパーのような一言が撃たれ、目頭が熱くなってしまった。
もう一つのいいことは、競技終了直後のインタビューがわかりやすいことである。オリンピックでは聞き手のアナウンサーのトンチンカンな質問に戸惑う選手もいたが、総じてパラリンピックの選手のそれには重さがあった。喜びや嬉しさが前面に出て、さらに選んで出てくる言葉がくっきりはっきり私の胸に収まったのだ。ある方はこれに対し、「そうなんですよ、彼ら彼女らは、なにしろ楽しいんですよ。だって、日常生活のほうが何倍も苦しく厳しい世界で生きているから。スポーツそれ自体が楽しいし救いなんですよ」と話していた、素直にそうだなと思う。おそらくスポーツの持つ「楽しさ」が直接私の心に響いたのだと思う。
画面越しに観ていたのはオリパラだけではない。御多分にもれず、私も大谷選手をテレビでよーく観察している。が「見てしまった」というのが正直だ。
大谷選手ってなんであんなに「いい人」なの?見た目も、かつて夢中になって読み漁った野球漫画に出てくる、スラっと背が高く頭が小さい、だが、ユニフォームの上からでも容易にわかる筋肉モリモリの選手!ヘルメットのつばで目元がよく見えない(漫画ならシャシャシャと線で描かれている暗な部分)下半分の顔がまたかっこいいじゃないですか!
だけどそれだけじゃなかった。敬遠が多く、残念ながら1塁に進もうとするとき、たいていのメジャーの選手たちは、バットを投げ捨て、身に着けていた「野球バッティング専用手袋(時々バッティングセンターでも付けているおっちゃんを目にするが・・・)」のそれをその場に脱ぎ棄てる。しかし大谷選手は違う。ゆっくり丁寧に脱ぎ、バットと合わせて一塁に歩きながら、ユニフォームは着ているものの、どう見ても選手ではない「若い衆」にそれをやさしく託す、そればかりか、その少し小太りで若い「球場助っ人兄さん」の肩に軽く手を当てる。「悪いな、いつも気を遣ってくれて、今度ハンバーガーでも一緒にどうだい・・・」くらいのやり取りをわずかな時間でやってのけていた。私は見逃さなかった。
果たしてこれは「いい人」をアピールしているのだろうか?そのほかにもロッカーやベンチをきれいにしたり、ごみを拾ってポケットに入れたりもしていた。これってカメラやファンを意識したものなのか・・・。
また別のある人はこう言った。「きっと子供のころに『野球がいくら強くてもダメなんだ!ゴミひとつ拾えなくてどうするんだ、いいことすればいいことがあるんだよ!』と教わったんだよ。子供頃のこうした監督さんや大人の一言って大事なんだよね。だから指導者は凛(リン)としてなくちゃ、きちっとした格好で子供に向き合わなくちゃ、二日酔いでバカボンの【ホンカンサン】のような目してちゃダメだよ!」と。
思い起こせば何度も「ホンカンサン」のような目で選手に向き合ったことがある。
オレは大谷にはなれない。だけどゴミ拾いくらいはできるかな?
スポーツの秋、楽しさとともに学びがあれば収穫は倍増する。
今年のコメつくりはやや豊作だった。豊作といえば左門豊作・・・。
来週から高校生の新人戦、地区大会が始まります!
情報です!
10月23日(土) 午後3時~ 西武台千葉高校多目的ホール1
「立てないけど立ち上がれ!」
車いすパラリンピアン千葉祗暉さん講演会
千葉祗暉さんはわたしの高校時代、バドミントン部の同期生です。
いい話が聞けますよ。是非どうぞ。