旧友再会

あたたかな南風が桜の花びらを舞い上げ、春の第一幕が終わった。

偶然古い知り合いに立て続けに会った。
どなたも西武台バドミントンゆかりの方々だったが、懐かしさとともにつながりの大切さを深く感じることができる。

具体的にいくつか紹介すると、まず今春卒業した選手たちからの贈り物にまつわる方々だった。体育館のベンチをいくつか増やしたいとの要望に、第2体育館完成時に手作りのベンチを寄付してくださったOB保護者に連絡をとった。「あー、久しぶり!」の電話の声にほっとしてベンチの件をお願いすると、早速体育館に現れて以前のものの詳細を測り、写真に記録して、今日届けてくれた。当然そのやりとりの中で、「いくつになりましたか?」とか「息子さんは?、お孫さんは?」とたわいもないが互いの間の時間を埋めていくような話を存分に楽しんだ。
続いて、賞状を飾るレールがほしいと言うことで、お仕事がインテリア関係で相談に乗ってくれそうだと思い、これまた20年前の選手のお母さんに電話した。電話の声は変わらない、つまり実際に顔を見て話していないのでお互いに歳を重ねていることは分からずに昔のように気さくに話ができる。「じゃ、お願いしますね!」「うん、分かったよ」と二つ返事で応えてくれた。しかし、一ヶ月以上連絡がなかったので確認すると「あっ、そうだったね」と相変わらずのおとぼけぶり、それにさえも懐かしさとあたたかみを感じてしまう。するとこれらのやりとりをまるでどこかで観ていたかのように、当時よく私のやけ酒に付き合ってくださった方々が、偶然拙宅に集まり、ドリフのようなお決まりの賑やかさを演じくれた。それを役者兼観客として眺めさせていただき、私にとっては心の充電となった。

今年は部で「米作り」を体験することになっている。本日苗床つくりが完了し、連休中には田植えまで進める予定だ。わがまま言いたい放題の私たちの夢を叶えてくださり、そのご指導をしてくださる方もかつての保護者で、ご夫婦、ご家族の方々総出で支えていただき、ありがたき幸せこの上ない。稲穂が実るまではまだまだ時間がかかるが、ワクワクしている。

その昔、選手の保護者は私の親のような年齢だった。バカな私を上手に育ててくれた。何年か経つと兄さん、姉さんの様になりフランクな付き合いができるようになった。最近では同世代になり、その後弟、妹のような関係になってきた。その都度楽しい思い出が重なり、心のアルバムが何冊にもなっている。ただ、写真と違うのは「色あせない」ことだ。今でもあの言葉、あの笑顔、そして感動がすぐによみがえる。

西武台千葉バドミントン部ではOB会ではなく、このように保護者やその都度お世話になってきた広く様々な方々との繋がりを大切にしたいと考え、NPO法人(特定非営利活動法人アルファバドミントンネットワーク)の設立に踏み切った。夢を形にしたいと思ったからだ。

現役選手はこれら背景の出来事や関係を知るわけがない。しかし、家族が知り合いだとか、恩師が同じだとか、不思議なものでどこかでなぜか「つながっている」。私たち年寄りは、若い世代の選手たちがそれらを成長のエネルギーにし、見えないバトンを未来につなげてほしい、と強く願っているのだ。

 

できあがったベンチに座りました