Good View!

インターハイが終わった。
結果はともかく今年も印象深いインターハイだった。

山形県は「南」東北なのだと大会名から逆に知ったわけだが、南とはいえずいぶんと「奥」に入った感じがした。

一つ目の話題は山形の「景色」だ。
会場は新庄市と尾花沢市に分かれ、南北に約20Km離れた二つの街を1日おきに行き来することになった。そして宿泊先はその中点から真西に10Kmほど離れている。とするとどちらの街にも10Km余りかな、と思ったのは地図上のことで、実際は毎日30Kmほどの山越えをしなければ帰れなかった。
どちらの街からも最上川を越える。「五月雨を集めて早し最上川」の句は芭蕉の『奥の細道』だが、最上川の水量の多さ、流れの速さはまさに句の通り、さらに宿舎までの道の細さはお題の通りだ。
途中から最上川の支流沿いに山を登る。河岸段丘らしい平坦な土地が緩やかに空へ向かっていく。すると遠くに山々の稜線がくっきりと見えてくる。ラスト5Kmほどは急な坂道と昨年できたばかりという「希望橋」という桟道橋で一気に下る。ひっそりとたたずむ温泉街に入っていく。「肘折温泉」がインターハイ選手たちの宿泊先だった。
落ち着いた感じの旅館で、温泉もよく、何よりむかえていただいた皆さんのホスピタリティが気に入った。朝の移動は1時間は見積もっておかないと間に合わないかもしれないと、朝食時間を大幅に前倒ししていただいたり、夕刻宿に着くと、疲れている選手へのきめ細かな心遣いをいただいたり、うれしかったしありがたかった。周辺の旅館に分散して多くのチームが宿泊していたが、どちらも落ち着いた歓迎ムードを演出していた。毎朝、身体をいっぱい動かしている選手たちを山や川が優しく見守っているようだった。

二つ目は心に映る景色「心象」だ。
練習会場は指定されているが、時間や面数に限りがあるので、自ら体育館を探すことはよくあることだ。今夏は偶然にも、選手や保護者の「つて」で都合よくとれ全員が存分に練習することができた。何しろ戻るとすぐ試合が予定されているから、焦っているインハイメンバー以外の選手には絶好のチャンスだったろう。練習後に体育館の方から差し入れとして「尾花沢西瓜」をいただいた。小学校時代の仲間だというそのご家族との試合もでき、西瓜を頬張りながら旧友同士が時を共にでき、別れ際には互いに大きく手を振り健闘を誓い合ういい「光景」が目に入った。
大会会場はエアコン設備が利き、身体を動かさない者にとっては肌寒いくらいだった。出場校の関係者が応援するため最前列を所狭しと陣取っている。そしてビデオカメラが鈴なりにセッティングされている。ギャラリーの手すり越しに会場を見渡してた保護者のひとりから「先生、インターハイっていいですね!」と声をかけられた。何か大切な「光景」が心に見えたのかもしれない。

三つ目は青春のワンシーンだった。
甲子園に「魔物」がいると言われているようにインターハイにも「魔物」がいる。予想もしない展開で勝ち負けが逆転し喜ぶ選手、自分が自分でないように坂を転げ落ちるように敗れる選手、悲喜こもごもの「ひとこま」が会場のあちこちに現れる。とりわけ、思わぬ敗戦に悔し涙があふれる、がそれをこらえる若者の切ない「相貌」に私は惹きつけられてしまう。
今年もいいviewを楽しませてもらった。

山に囲まれた肘折温泉

男子チーム 鶴岡市で行われた

お疲れ様でした。