Spring comes around

急に春めいてきた。高校2年生は台北に修学旅行に行っている。あちらは常夏、あたたかではなく暑いくらいだろう。

週明けに来客があるので「浴室をきれいにしておくこと」と命を受け、体育館が使えない休日に早速取りかかった。もともと掃除は嫌いではないが、浴室の掃除はなかなか納得できずにいた。

当日の朝、いつものように異常に早起きしてテレビを観ていた。どれもイマイチ、チャンネルを切り替え続ける。するとどれも高齢者をターゲットとする「テレビショッピング」ばかりなのだ。もちろんその時間にスタジオでやっているわけではないし、昨晩からやり続けているわけでもない、そんなことはわかっている。わかっているが彼ら、彼女らのテンションの高さには締め付けられる。「この女性はいつもこのように会話しているのだろうか?」「このおじさん、やけに素人っぽいけどそこがいいのかな・・・」などと様々な商品をぼーっと眺めていた。

「うぇーっ!本当にきれい!!」その商品は浴室掃除用の洗剤だった。「なに!」思わず細い横目で注視してしまった。だって怪しいではないか。私はこれまでも年末の大掃除を中心に浴室掃除にトライし、そのたび「ピカシリーズ」や「達人・職人シリーズ」の溶剤をホームセンターで手に入れ試してきた。もちろん忠実に用量用法を守り、丁寧に使ってみた。しかしどれも納得のいくものではなかったのだから。

どうせこれも眉唾物だろう、オレはだまされねえ。と思いながら見終えた。

「今あるの使いなさいよ!」と助言は頂いたものの、自分の技術力をカバーできるなにがしかがあるに違いないと春めいた陽気の中ホームセンターに足を運んだ。

掃除コーナーの前をうろつくと、今朝方見たあの溶剤がいくつも並べてある!ウーんとうなりながら迷い、気づくとそれを持ってレジの前に立っていた。

その商品は「SG」とでも呼ぼうと思うが、パッケージもボトルもさえない感じで、本当に効くのか?とボーと考えながら徹底的な掃除に入った。マニュアル通りスプレーし時間を守り浴室に行く。するとどうだろう、すっかりきれいになっているではないか!こいつはすごい、と感動しながらもきれいに洗い流して掃除を終えた。そして勢いそのままシャワーを浴びた。シャンプーに手を伸ばし頭が2倍になるくらいの真っ白なボンバーヘッドになったとき、その溶剤のボトルに大きく書かれていた「まぜるな!危険」を思い出してしまった。あれっ!シャンプーって大丈夫なんだっけ?オレってこのままいっちゃうのか?と想像するや否や頭の中に真っ裸で浴室のドアに手をかけたまま倒れている私と、それを上から見ている右京さん、相棒も登場してきた。「まぜちゃったんですね」と相棒が、そして「間に合わなかったのですかねぇ?」と右京さんが話す。そうその時点で我が家の中にいるのは自分と名犬ブランのみ。ヤツは先ほどチラッと見たとき完全仰向け状態で馬鹿面して寝ていた。ご主人を助けような気は毛頭ない。

結局無知でバカなおじさんの妄想だったが、お風呂はきれいになったし、それだけでも結構楽しく気分もよかった。

一足先に春のうかれた気分を味わったが、今週末の卒業式、16日の「春が来た(14:00~)」など、そして何度かの雨の日を繰り返しどんどん春になっていく。全国選抜が終わる頃きっと桜が咲いているのだろう。

※この記事は個人の感想であり、効果・効能を示すものではありません。

失礼しました。

春の日差し(利根川堤)