後半戦

暦の上では今年も折り返しを過ぎたことになる。

インターハイ予選、国体選手選考会もすべて終え一週間が過ぎた。
学校は定期考査を目の前にして、中高各学年が夏休み前のスパートに入った。
地球温暖化、などと言っても梅雨明け=夏休みの季節感は昔と余り変わらないような感じがする。試験が終わった開放感、突然降り注いでくる(射してくる)強い夏の日差しと積乱雲、など思い出しただけで何十年も昔が今のように感じられる。

夏休みの計画などと大げさでなくとも、やりたいことやこの時ではなければできないことをそれとなく思い浮かべながらボーっとしてペンが動かない試験前の日曜日かもしれない。

中学生はこれからがジェットコースターのように、短期間に加速と急カーブを何度も繰り返し夏休みを駆けていく。葛北大会、県総体、関東中学校、そして全国中学校と。だから、ほんの一日だって、この一瞬だって「夏の思い出」には大きく影響してくる。
高校生だって、大小様々な大会が夏休み中にあり、それぞれの選手の目標やピークも異なってくるが、新チーム最初の最大イベントである「信州夏季強化合宿」には全員同じ気構えで臨んでほしい。ことしも信州、長野県上田市別所温泉の斉藤旅館で、恒例の夫神山登山やBBQも企画している。31年連続となるが、よく続いたものだ。

第3回の合宿中日、宿舎戻りのバスは塩田平の緩やかな坂を別所温泉方面、夫神岳に沈みかけた夕日に向かって登っていた。
誰かが窓から外を見て騒いだ。「マーボー先輩だ!」
その年の3年生(2期生)のふたりがサイクリング車にまたがって一生懸命ペダルを踏んでいた。お金がないから野田から自転車で来たという。その光景が目に焼き付いた後輩が「俺たちも!」とそれから何度も自転車で合宿にやって来た。ある年は3年生4人が何日もかかって、野宿しながら歩いてやって来たこともあった。到着した晩は旅館の布団に溶けるように寝ていたが、彼らの部屋のテーブルに寝る前に書いたであろう、途中お世話になった方々への礼状が置いてあった。これも信州合宿の大きな思い出のひとつだ。

毎年大体同じ時期に同じ場所でキャンプは行われるから、OBや保護者の皆様の参加もできる。昨年は保護者、お母さんが一緒に山登りを楽しんだ。これも良いものだと思う。

さて、そんなこと考えてばかりでは勉強が進まない。
一年の後半戦、ゆっくり、おおらかに学んでほしい。