心の優しい金持ち

 師走に入った。

 毎日スタンプで押したような授業だけの日々が続いてきた。もう飽き飽きしてきたころだったが、受験も近いので、熱い視線がほどよい緊張感を与えてくれる。視線と言えば、先月1年ぶりの県大会に臨み、選手たちの輝く目を久しぶりに拝ませてもらった。年末の関東選抜大会が無事開催されることを祈るばかりだ。

 さて、話はグーンと飛ぶが、何気ない会話の中で、「毛深い人」さらに「毛」について話が盛り上がった。

 ひとつは、かつて友人のアフリカ人に「毛深い人はイイ人だよ!」と言われたというお話。なぜならばアフリカの彼の国では毛深い人は「やさしく思いやりがある」というのだ。

 二つ目は中国。知り合いの方から「中国ではハゲがモテるよ。それは金持ちになるからダ!」と言われたそうだ。一方では「毛深い人有利」、他方「毛無し優勢」の、極論に近い話に、最近読んだ本があることを示唆してくれた。

 その本には「ヒトが言葉を獲得する前(かなり昔の話だ)のコミュニケーションツールは『毛づくろい』なのだ」と書かれていた。サルなどがよくやっているアレだ。あの『毛づくろい』こそ、言葉のないヒトにとっての相手と意思を交わす最高の手段、だというのだ。そういえば何か優しさを感じるな。

 さらにまた「なぜグリーン車にはハゲが多いのか (幻冬舎新書)」という別の本の著者は、ずばり進化の過程で男性の毛がなくなってくる、現代人の中でも先んじてる人がビジネスなどに長けていて、結果的に所得が多い人にハゲが多い、等の説を述べている。

 つまり、アフリカの「毛深いヒト=やさしい」説は、人の奥底に備わっている『毛づくろい』コミュニケーション能力が高く、他方中国の「ハゲ金持ち」説は、前述の「なぜグリーン車・・・」の言わんとしたことだろう。

 では、「体中毛だらけで、頭だけはツルッツルにハゲた男」「心の優しい金持ち」になれるのだろうか。

 暇なものでヘンな事をしつこく考えてしまう。だがこれが意外とおもしろいし、密にならない程度に語り合えばちょうどいい心の栄養剤になる。

 秋晴れのある週末にみんなでサイクリングしました!

alphacycling2020