雨のち虹
暦の上では秋に入ったが、異常な暑さや異常な雨降りに、どちらに行ったらいいかわからくなる。とりあえずステイか・・・?
富山県で行われたインターハイから戻った。
日本海に近い街で行われた。到着すると日差しが身体に痛いように突き刺さる。眩しい眼差しで遠くを見ると、海からどんどん沸き起こってくる巨大入道雲が、真っ青なキャンバスに白い絵の具をチューブから押し出すように空を覆っていく。と、思っているとそのキャンバスに突如「墨汁」がこぼれ出す。急に暗くなる空から雷鳴とともに激しい雨が叩きつけてきた。
もしかしたらこれらは、残念ながら全員が参加できなかった開会式の「アトラクション」のひとつなのかと思うくらいだった。
インターハイは高校3年生の最後の発表会だから、「いいとこ見せて!」というハッパをかけられた選手達は、まさしく全身全霊で戦い続けた。具体的には「その体育館で最後の最後までシャトルを打ち続けよう!」「身体の限界まで挑戦しよう!」だったが、その2つとも揃って我々に披露してくれた。開催や出場が危ぶまれた日を思い起こせばそのよろこびも倍加してくる。本当によくやったと思う。まずはゆっくり身体を休めるべきだ。
野田に戻ると「新チーム」のエンジンがすでにかかっていて、早く早くとせかされるように練習に入った。来夏も楽しみだな。
今回のインターハイ(女子会場だけしかわからないが)、学校対抗戦でいつにないような「気迫」を感じた。初戦からほとんどの対戦が大激戦であった。「無観客」であるのに、まるで大応援団を背後に付けているような熱気と粘り強さ、元気あふれるラリーがあちらこちらで見えた。タイムテーブルは遅れに遅れ、進行の方々のご苦労は想像以上だっただろう。
2年ぶりにやっとみんなでインターハイに行けた、先輩の分も頑張ろう、応援がいないのならコートに立っている私たちが盛り上げよう・・・。そんな心に身体が反応してファインプレーが続出した。さらに上述のように「身体の限界」までやろうとする青春真っ只中の選手の粘り強さがファイナルゲームやジュースに持ち込ませ、さらにもつれていた。
いいことだと思う。自分たちの発表の場を人任せにせず、シラケずに、互いに鍔迫り合いをしながら、自分やチームを思いっきり表現する。すばらしい。
そしてなぜか(県大会もそうだが)学校対抗戦の指導者はベテランの監督が多い。若くエネルギッシュなコーチが「オレについてこい!」モードでやるのもいいだろうが、若輩者のそれぞれバラバラな勢いに押されながら、引き摺られながら、やっとのことついていき、だけど上手に指揮を執る、老体コンダクター率いるチームのほうが勢いが格段といいような気がした。
しかしそんな間にも、近々に予定されていた大会の中止が次々に入電してきた。「中止」に慣らされた自分が情けないし残念だが、また来るであろう学校対抗戦に備えて、新たなオーケストラの編成にとりかかりたい。
異常気象はままならないが、大雨あって、大雪あって、風吹いて・・・、青空やきれいな夕焼け、そして爽やかな朝が待っている。次から次へ沸き起こる情熱の入道雲に夢と希望を託したい。
富山インハイ 滞在先のホテルの窓から