ジュニアグランプリ
日本ジュニアグランプリは16年前に始まった。
第1回は神奈川県川崎市のとどろきアリーナで、7点5ゲームで行われた。各都道府県で小学生、中学生そして高校生がチームを作るという初めての試みには大いに興味をそそられた。その頃、市内でジュニアチームを旗揚げし、そろそろ形になってきたし、西武台中学校バドミントン部も関東大会、全中へと活躍の場を広げはじめた時だったからだ。
大会はその後、広島県や群馬県に移り、東日本震災を挟んで10年以上仙台市で行われてきた。小学生の頃にこの大会に連れて行った「子」が中学生として、さらに一番お姉さん、お兄さんの高校生として活躍を経験した選手は少なくない。ことに仙台大会は『牛タン大会』のイメージが強く、「大家族」を連れ立って夕食を食べに仙台の夜をぞろぞろしたのが実に懐かしい。
小学生にアドバイスするのは難しい。「〇〇ちゃん、どう?」といえば「ダメッ!ちょーダメッ!!」という返答、カッとする気にもなれない。それが中学生になると「ハイッ!」と分かっているのかいないのかはっきりしないが一応シャキッとする。高校生になればそれなりのコミュニケーションができるようになる。この話を読んで、それって私だ、オレだと言う選手は少なくないだろう。
結成間もない高橋、松友ペアに木っ端微塵にされたのもこの大会、強い小中学生に負けじと張り切りすぎて、パートナーのドライブショットを顔面に受けて両チーム大笑いだったのもこの大会、幾度も試合終了が夜9時過ぎにもなったし、楽天の優勝パレードと遭遇したのもこの大会だったな。
バドミントンに限らないが、小学生の指導者は中学生の指導者を、中学は高校生のを、そして高校生の指導者は大学や実業団の指導者を否定的に感じてしまうようだ。実際の苦労は知らないくせに「オレにやらせれば勝てるのに・・・」と天狗になっている指導者は後を絶たない。小中高の異なる指導者が「仲良くやる」なんて感情的にムリという腹の中の言葉はさておき、この大会の是非や存続に関しても賛否(どちらかといえば否が多いかな?)が叫ばれ、協会もあれこれリサーチを行ったようだ。
先日栃木で行われた「新生ジュニアグランプリ」は小中高のそれぞれシングルスのみの大会となった。遅くまで決着がつかない取り組みもなくなり、大会運営は順調であったが、いささかさみしい。やはりダブルスは人の数だけでも盛り上がるものだ。リーグで敗れたチームはフラストレーション気味に会場を去って行った。
そんな紆余曲折、スカスカ、どんより大会だあったが、優勝できた。だけど優勝できたことより、活躍した選手が皆西武台の卒業生の子どもだったことに胸を締め付けられた。さすがにグランプリ出身の選手の子ではないが、正真正銘、同じ苦労を味わった(味わおうとしている)選手の1ショット1ショットに時代を貫く一筋の重みを感じざるを得なかったのだ。
It takes three generations to make a gentleman.
「紳士を育てるには三代かかる」
ということわざがイギリスにはあるそうだ。紳士が育ったとは到底思えないが、時間はかかるものだということは身をもって感じた。
選手との年齢はどんどん離れていく、思っていることも感じていることも予想がつかない。ジェネレーションギャップは確実にある。それもそうだ孫の代だから。
一番うれしいのは、中学生にしても高校生にしても、お兄さん、お姉さんとして小学生の面倒を見ている姿、いっちょまえに背伸びしながらもその後ろについて行くかわいらしい姿を見るときにささやかな「やりがい」を感じる。
この「ささやか感」が秋の終わりにはピッタリだった。
ありがとうございました。